ロボットスーツ医療保険と再生医療について
診療報酬改定(平成28年度診療報酬改定説明会資料等)の時から気になっていたロボットスーツと医療保険について今回は書いていきたいと思う。
そもそもロボットスーツって?
ロボットスーツと言われればサイバーダイン(CYBERDYNE)のHALが有名です。
HALとは?
HAL®(Hybrid Assistive Limb®)は、
身体機能を改善・補助・拡張・再生することができる、
世界初※のサイボーグ型ロボットです。身体にHAL®を装着することで、
「人」「機械」「情報」を融合させ、
身体の不自由な方をアシストしたり、
いつもより大きなチカラを出したり、
さらに、脳・神経系への運動学習を促すシステムです。引用:HALについて
歩けない人のための歩行訓練補助装置として期待されていますが、介護分野での期待も大きいです。
そして、自分が一番期待しているのが再生医療からのロボットスーツという流れです。
何故再生医療とロボットスーツ?
何故再生医療とロボットスーツの話になるのか少しお話しします。
再生医療と言えばiPS細胞となりますが、中枢神経系の再生医療が進んでいるのは慶応義塾大学になります。現在慶応義塾大学はiPSの開発者である山中 伸弥さんと共同研究を行っています。再生医療については下記の記事を見てみてください。
再生医療で自身が特に期待しているのが中枢神経系の再生医療です。中枢神経系と言われると少しわかりづらいと思いますが、脳梗塞や脊髄損傷などがあります。車椅子の方で多いのは事故などによる「脊髄損傷」でしょう。
そのため再生医療が進むことで脊髄損傷が原因で歩けない方は歩ける可能性が出てくるということにもなります。
ただ、いくら再生医療が進んでももともと歩けない方や歩き方を脳が忘れてしまっているケースがほとんどのため学習することが必要になります。それをロボットスーツで補助していこう!ってことになっています。
そういったことから慶応義塾大学では医療用ロボットスーツのサイバーダインと連携しています。
慶應義塾大学医学部とCYBERDYNE株式会社が医療イノベーション推進に関する連携協定を締結
再生医療が進んでもすぐに完治!とはならず、徐々にリハビリを行って治していくということなんでしょうね。
ロボットスーツの医療保険の拡大?
2017年5月現在ロボットスーツの医療保険適用はある決まった難病のみに絞られています。
詳細に言えば【脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、シャルコー・マリー・トゥース病、遠位型ミオパチー、封入体筋炎、先天性ミオパチー、筋ジストロフィー】の患者のみとなっています。
そのため「脊髄損傷」などの中枢神経系は現在では適用はできないということになります。
もし、現在ロボットスーツを受けたいと思った場合は自費になってしまう可能性が高いのです。
ただ、再生医療が進んだ場合はこのロボットスーツ適用の枠が拡大する可能性が高いと読んでいます。
現在の段階で中枢神経系の再生医療は進んでいて近い段階で臨床治験が始まり、正式な医療保険適用も始まる可能性ももうそろそろかもしれません。
民間企業の保険
そして2017年7月には大同生命が医療ロボットの治療費の保障を盛り込んだ保険を販売するということになりました。
ただ、これが現在病気の人が対象となるのかが気になるところです。
一番必要な人は現在その病気にかかっている人のためそれを保険で賄うことができるのか?
なかなか難しそうな問題ではありますが、内容が把握出来たらコチラで追記しておきたいと思います。
身体障害者が保険に入れるかどうかなどは下記のサイトを確認してみてください。
ロボットスーツの普及
ロボットスーツはどうやって普及していくのか?という疑問が湧いたので少し考えてみたいと思います。
下記の画像はサイバーダインIRの決算説明会資料のものです。
上記の画像を見てもらうと現在は日本でしか保険適用できないようになっています。アメリカやドイツなどには日本で効果が実証されてからになるかもしれません。そのため市場の拡大にはまだ時間がかかると言うしかありません。
単関節では今は臨床治験用途として大学などで使われています。現在ではまだ研究の段階でなかなか普及の段階ではありません。
ただ、介護支援用のロボットスーツは拡大中であります。需要が高いのはおそらく介護用のほうで先にこちらが市場拡大していくことになるでしょう。
医療用が先じゃないのかよ!と文句も言いたくなりますが、正直なところこれはメリットになります。
介護用が拡大すると何が起こるかというと医療用ロボットスーツもどんどん値段が落ちて性能が上がってくる可能性があります。理由は同じような部品を使うようになることと市場拡大に伴う競争+研究による性能の上昇です。
そうすると患者は従来よりも安価でより性能のいいロボットスーツが利用できるようになります。
しかも、費用負担が軽減されより高度なリハビリを行うことができます。
また、ロボットスーツがいくら普及しようとも再生医療が進んでいかないと話になりません。ロボットスーツと再生医療はセットでの話であり、どちらかがなくなっては話にならないのです。
あとがき
再生医療で臨床治験が始まりますが、これはおそらく急性期の患者からになるでしょう。理由は簡単で回復が早いからです。
急性期の患者は運動機能が落ちていないためリハビリの時間を短縮できるためです。また、再生医療の効果を確認しやすいという理由もあるでしょう。
そのため車いす生活が長いような人が治療を受けれるようになるのはまだまだ先になります。おそらく5年以内では難しいのではないか?と考えています。
そういった意味で考えると早く再生医療とロボットの進歩があればいいなぁ切実に思います。
本当に歩けるようになって活動範囲拡げたいです。